ブルゴーニュワインの代表的産地
THE SUITEソムリエ 鈴木 昌武
皆さん、こんにちは。THE SUITE ソムリエの鈴木です。
世界有数のワイン産地として名高いブルゴーニュは、フランス北東部に位置し、一部の地域を除き、主にピノ・ノワール、白ワインはシャルドネのみを使用してワインが造られていますが、地区や畑によりテロワールが異なり、同じ種類のブドウを使用しているのに、それぞれに違う味わいや風味を楽しむことができます。
前回は、ブルゴーニュの格付けとして、上位から「グラン・クリュ=特級畑」、「プルミエ・クリュ=1級畑」、「村名ワイン」、「地方名ワイン」 の4つのクラスがあるという解説をいたしましたが、今回はそんなブルゴーニュワインの代表的な6つの産地からそれぞれの特徴をご紹介します。
●シャブリ地区
シャブリはブルゴーニュの北端に位置し、20以上の村からなります。
シャブリ地区の最大の特色は、その土壌「キンメリジャン」。粘土質とジュラ紀の貝殻などの化石が堆積した石灰質が組み合わさった独特の地質で、生育されるシャルドネに多大なニュアンスをもたらします。
すっきりした味わいと土壌に由来するミネラル感が特徴で余韻は長く、穏やかで甘美な心地よさを残します。
●コート・ド・ニュイ地区
かの有名な「ロマネ・コンティ」が造られている地域で、ワインは赤ワインがメインで、ピノ・ノワール単体で造られています。
ワインにふくよかさとブドウの熟度をもたらす良質なピノ・ノワールが生み出されます。
グラン・クリュ(特級畑)は24個、プルミエ・クリュ(1級畑)が41個と数多く存在していて、ブルゴーニュ赤ワインのグラン・クリュのほとんどが、コート・ド・ニュイで造られていますが、その区画ごとにそれぞれ個性に溢れながら、繊細で優雅さが感じられます。
●コート・ド・ボーヌ地区
先のコート・ド・ニュイが、ピノ・ノワールだけで90%占めるのに対して、ボーヌにはピノ・ノワールとシャルドネといった2大巨頭が君臨し赤ワイン60%、白ワイン40%ほどの比率で生産されています。
ピノの特徴は、色調が濃く、赤系にときは黒系果実を呈し、ヴォルネイやポマールが代表格。風格がありながら、ふくよかながら美しいワイン。
白ワインは、「モンラッシェ」や「コルトン・シャルルマーニュ」など世界的な名声を誇るエレガントでフィネス豊かなワインを産み出しています。
●コート・シャロネーズ地区
コート・ド・ボーヌの南側に位置するこちらの地区は、畑は点在していて、コート・ド・ニュイやコート・ド・ボーヌのようにまとまって位置していません。
一級畑が多くあり、フルーティーながら程よいタンニンで華やかさがあり、酸味が少し穏やかな赤ワイン、「アリゴテ」種から造られる白ワインはフレッシュで透明感のある香り、エッジのきいた酸味、シャープな味わいのことさら品質の高い産地です。
●マコネ地区
広大なシャルドネの王国です。栽培面積の約8割を占めます。
白の銘醸地として挙げたコート・ド・ボーヌ地区やシャブリ地区と比較するなら、シャルドネの味わいは豊満でボリューム感のあるものが多い傾向にあり、酸味も比較すると穏やか。
果実感に合わせて樽熟成をかけているものも多く、同じ白ワインの産地でもシャブリとは対照的な味わいと言えます。
●ボジョレー地区
ブルゴーニュの中で最も異質なのが、この産地。
毎年11月に解禁される「ボジョレー・ヌーヴォー」は、ガメイというブドウ品種を使用しており、マセラシオン・カルボニックという色素を最大限抽出し、タンニンは極力抽出しない、キャンディのようなフルーティな香りを出す製法で生産されています。
「ヌーヴォー」は、新酒で赤ワインとロゼワインのみですが、特別な10の区画からは熟成能力がある上質なワインを造るために、新酒として出荷することは認められていません。
また、ごく一部ですがシャルドネから造る白ワインもあります。
ブルゴーニュワインの特徴は、非常に価格幅が広く、手頃なものから、高いものは数十万円、数百万円のワインまであり、その価格差の理由は畑の「格」。
香りのボリュームが増し、香りがより複雑でタンニンが緻密で味わいに立体感があり、余韻を長く感じるなどが共通して持つグレードの違いと言えます。
そして、単一品種・単一畑で造るため、生産者、畑、格付け、ヴィンテージ、熟成による多様性と生産量が少なく一期一会の魅力もあります。
それぞれの地域の魅力を感じながら、皆さんもぜひブドウの芸術と評されるブルゴーニュワインの世界へ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。