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六本木クラブチックソムリエ 平野 光志
こんにちは。六本木クラブチックの平野です。
映画「バベットの晩餐会」を観ました。
20世紀のデンマークを代表する女流作家カレン・ブリリセンの同名小説を映画化した群像劇。
第60回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞。1989年に日本初公開。
2016年デジタルリマスター版でリバイバルされました。
内容は19世紀後半、デンマークの辺境の小さな漁村ユトランド半島に質素な生活を送る初老を迎えたプロテスタントの姉妹がいた。
そこにフランスから料理人だったバベットがやってくる。
その後、彼女は家政婦として長年姉妹に仕えるが、宝くじで大金を手に入れると、村人のために晩餐会を開きたいと申し出ます。
クライマックスの晩餐会では料理本でしか知らないクラシックなフランス料理が次々と出てきます。
例えば「ウミガメのスープ」、「ブリニのデミドフ風」、「ウズラとフォアグラのパイ詰め石桶風」などなど、食前酒から始まり、ヴーヴ・クリコ1860年、クロ・ド・ヴージョ1845年などが料理に合わせて供されます。
豪華な料理とワイン、サービスの作法、すべてにガストロノミーの凄味が表れています。
時間をかけて成熟した格式が人の心を動かし得たのだなと感じました。
舞台が19世紀ですから1860年や1845年というヴィンテージ物はわかります。
多分すごいんだろうなと。(笑)
そういえば、ワインショップ・ソムリエの地下セラーに「Not for Sale」Chateau Ausoneとありまして、何年だろうとみるとなんと「1896」!!
久しぶりに目を見張りました!
もちろん、リコルクは何回かしてあるとは思いますが、さすがに1800年代のワインは私も飲んだことがありません。
香りと味わいを想像しながらシャトーに行った時のことが思い浮かんできて、何とも言えないノスタルジーに引き込まれてしまいました。
本当に見るだけでも感激して、幸せな瞬間をくれた1本でした。(笑)