<< 映画の中のワイン・第97章 >>
六本木クラブチックソムリエ 平野 光志
こんにちは。六本木クラブチックの平野です。
映画「悪は存在しない」を観ました。「ドライブ・マイ・カー」アカデミー国際長編映画賞、カンヌ国際映画祭脚本賞、「偶然と想像」でベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞するなど国際的に高く評価される濱口竜介監督が、カンヌ、ベルリンと並ぶ世界3大映画祭のひとつである
ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)受賞で果たした長編作品。
「ドライブ・マイ・カー」でタッグを組んだ音楽家・シンガーソングライターの石橋英子と濱口監督による共同企画として誕生した作品です。
他にも映画祭本体とは別機関から授与される国際批評家連盟賞、映画企業特別賞、人・職場・環境賞の3つの独立賞も受賞しています。
巧役を大美賀均、花役を西川玲、高橋役を小坂竜士が演じています。
この作品は観客にすべて答えを委ねていてフランス映画の終わりのように情緒たっぷりに終わります。
なので観た方々の感想も二極化しているのがおもしろいですね。
さて、この作品の中にワインは出てくるのか?ちゃんと出ています。コルクではなくスクリューキャップのボルドースタイルのワインです。
どこの国の銘柄かは分かりませんが、赤ワインで間違いありません。(笑)
セリフで「鹿を狩猟している」ような事を言っていたので、鹿肉と合わせるようなワインでしょうか。
よく鉄板の組み合わせと言われているのが、フランス・ローヌ地方の「シラー種」だと教科書には載っています。
あるソムリエは「ジビエ特有の野性っぽい独特の風味が黒故障や生肉・血液といったシラーの個性的な香りと合い、同調のマリア—ジュになります。また脂よりも赤みが多いシカ肉はしっかりと租借し噛み応えのある肉質なので、噛めば噛むほど旨味を感じます。この旨味にシラーの酸味とタンニンが寄り添い「補完」のマリアージュにもなっています。」とコメントしています。
私はこの映画の中のワインは主人公の飲みたいもの、おもてなししたいものを置いている感じがして気持ちがよかったシーンでした。誰と飲むかで味は変わりますからね。