＜＜ 『南イタリア最後の州』〜イタリア紀行15〜 ＞＞

こんにちは。Le Club de Tokyo ソムリエの泉澤です。
南イタリアの旅編もいよいよ最後の州。イタリアをブーツに例えるとつま先にあたるであるカラブリア州に向かいます。

マテーラを出発し、何にもない殺風景なところを走りながら3時間半位かけてやっと着いた州都カタンザーロにも古い教会などがあり観光としても楽しめるのですが、 先日のマリエで予定外の時間を費やしたためさっさと目的地のワイナリーがあるチロマリーナに急ぎます。

古代ギリシャ人によりブドウ栽培が始まったカラブリア州はエノトリアテルス（ワインの大地）と呼ばれていた土地で、古代オリンピックの勝者にはこの地で造られるチロワインを捧げたと言われています。

白ブドウはグレコビアンコやモントニコが栽培され、赤ワインの生産量が7割を占める黒ブドウのグレコネーロやマリオッコ、特にチロを造るガリオッポ（美しい足という意味）からワインが造られますが、ガリオッポは1000年以上の歴史がある、ブドウ品種で世界でも最も古いもののひとつとされています。

そのチロを造る産地がチロマリーナで、美しい海岸線からとてもきれいなビーチが望め景色も良い小さな町ですが、少し山の方へ向かうと荒れた土地とブドウ畑などが広がり別世界のようになるのですごく遠くに来たような感覚になります。
ここに、目的地のワイナリー リブランディがあります。

1950年頃に兄弟2人で創業したワイナリーで、元々数学の先生をしていたという息子さんと行った創業当時の6haの畑「ドゥーカサンフェリーチェ」から造られたワインなどを持って近くのトラットリアでごはんを食べながら自慢と説明を聞きました。
数種類の料理が並びましたが、味付けはだいたい辛い。
なんでも合わせられるロゼがおすすめって言ってました。
ワインは辛い味付けには合わせづらいと言われてますが皆さんもお試しあれ。

リブランディはバローロのロマネ・コンティと称賛されるワインの作り手 ブルーノ・ジャコーザと肩を並べるガンベロロッソで2013年に受賞。イタリアの有名ワイナリーです！

ここカラブリア州では山羊や鹿、ンドゥイアと呼ばれる辛旨で柔らかいソーセージやシラスを唐辛子漬けにした発酵調味料や小鱈の唐辛子煮込みなど、辛いものが多いですが、もちろん辛くないものもあります。
ブルタータと呼ばれる肉や野菜を詰めたパイやトロットロのなすが入った小さなコロッケのようなものや肉屋がお店の前で豚のあらゆる部位を煮込んでたフリットレという料理などなど。

「皿の中に、イタリア」という素敵なエッセイ集があります。
イタリア在住歴30年以上の著者が描く、食と人を巡るエッセイ集で、カラブリア出身の三兄弟が市場で働く話です。イタリアの食文化、温かい人々。映画を見ているように景色が広がっていく気持ちにさせる本。
古代オリンピック勝者に捧げられたというチロを片手に旅気分を味わいながら読みたい本です。

さて、チロマリーナからレッジョカラブリアまで移動して飛行機に乗りフリウリのトリエステから電車でウディネ。
やっとうちに帰って来ましたー！
とても、とても温かな人々とのボンジョルノ・グラッチェ・チャオの毎日だったなと思い出に浸りながら南イタリアの旅を終えました。