映画の中のワイン・第９０章

映画『ベイビー・ブローカー』を観ました。監督は是枝裕和、出演は、ソン・ガンホ、ペ・ドゥナ、カン・ドンウォン、イ・ジウン、イ・ジュヨン他。
本作は是枝監督初の韓国製作および韓国語作品で、第75回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門正式出品作品です。

是枝監督は「ベイビー・ブローカーは、まっすぐに命と向き合い、登場人物の姿を借りて、自分の声をまっすぐに届けようと思った作品で、祈りのような願いのようなそんな作品である」と語っています。

確かに考えさせられる映画でした。
さて、この映画の中にワインは出てきました。ストーリーにはあまり関係ないシーンですが、でも出ています。
韓国ワイン？と思いましたが、よく分かりません。韓国ワインだとしたらすごくレアです。

韓国でワイン生産が本格的に始まったのは1977年ですが、「マジュアン（Majuang）」が、国内の技術で造られた最初のワインだと言われています。
「向き合って座って楽しむ」という意味のマジュアン。

米を発酵させてアルコール飲料を造っていた韓国では、主食である米で飲み物を造るのは無駄遣いだと考えられてきたため、甘い風味の最高級ブドウ品種「リースリング」を輸入し、リースリングがよく育つドイツのモーゼル地方と気候がよく似た慶尚南道一帯にブドウ園とワイン工場を建てたのが韓国ワイン生産の始まり。

慶尚南道キョサン（景山）地区にあるマジュアン・ワイン工場は年間9,500klの貯蔵能力を備えています。
しかし、気候特性上、国産のブドウだけではワイン製造は難しく、モーゼルやフランス・メドック地区などのワイン生産が盛んな地域から原液の供給を受けてブランディングするのが一般的です。

その風味調和が抜群で、「マジュアン・ワイン」は市販と同時にローマ法王庁の承認を受け、韓国カトリックのミサ酒として奉納され、今でもミサで使用されています。
日本でも正月は明治神宮には多くの日本酒樽の隣りには多くのワイン樽が奉納されています。
今や世界中で造られていて、中国ワインもチラホラ見かけますね。

今回この映画を観て何を飲もうかと考えていましたが、喉が渇いたので結局は「アサヒスーパードライ」になりました。（笑）