テロワール（Vin de Terroir）

皆さん、こんにちは。ソムリエの木村です。

ワインの世界では、「テロワールTerroir」というフランス語がよく聞かれます。
この言葉は「風土や土地の個性の」と記されていますが、もっと身近な言葉でいえば、「ブドウ樹をとりまく環境すべて」ということができます。
気候タイプ（年間を通じて乾いているのか、雨が多いのか等）もあれば、土壌の個性（砂利質土壌もしくは肥沃な土壌なのか等）、地形の特徴（斜面なのか平地なのか等）ということがあげられます。

テロワールワインの究極といえば、フランスのブルゴーニュではないでしょうか。
ブルゴーニュはフランスの東部にあり、全長300㎞の縦長の地方で、全体としては大陸性気候と呼ばれ夏と冬のアップダウンのはっきりとした気候タイプ。

主に栽培されている黒ブドウ品種はピノ・ノワール、白ブドウ品種はシャルドネです。
このブルゴーニュでは、気候も品種も全く同じなのに、隣り合う畑同士で全く異なるワインになるという現象をよく見かけます。
このようなことが起きる一つの原因に土壌の複雑性があげられています。
ブルゴーニュの土壌はモザイクともいわれ、隣り合う畑でもまったく異なる土壌で形成されており、それが味わいに大きな影響を与えていると考えられているのです。

中世に修道士たちが神に捧げるワイン造りを行っていたところ、斜面の違う区画から出来上がったワインの味に違いがあることに気付きました。
そこでテロワールを丁寧に観察し、当時から「良い畑」「最上級の畑」という区切りを設けており、それが後にプルミエ・クリュ（第1級）、グラン・クリュ（特級）として法律で認められました。
有名な話はクロ・ド・ヴージョという特級畑。
上部の「水はけ良好な石灰質の土壌」が「教皇の畑」、中央の 「砂利の多い一帯」は「王の畑」、下部の「粘土質の一帯」が「修道士の畑」として扱われてきました。

The Suiteでは、このクロ・ド・ヴージョもご用意しています。
凝縮した味わいを表現するため収量を落とし、マニュエル・オリヴィエは樹齢30年以上の樹から採れる果実のみを使用します。
ミディアムボディながらピノ・ノワールをうまく表現した力強い味わいと、凝縮された長い余韻を持つ、特級の名に恥じない威風堂々としたワインです。