「美味しいワイン」と「いいワイン」

皆さん、こんにちは。六本木“The Suite”でソムリエをしている木村です。

お客様にワインのご注文をいただく際に、色々とお話しをさせていただいておりますが、「ワインをよく知らないので、美味しいワインを下さい」と言われることが多々あります。
ソムリエの私を信頼してのお言葉に、大変ありがたいと感謝の気持ちでおります。
ですが、この「美味しいワイン」という言葉が非常に難しい選択になります。
お客様の好みは、人それぞれに違いますし、特に味覚に関しては究極の嗜好だと思うからです。
「○○○さんが100点を付けた」とか「コンクールで賞を獲得した」などと評価の高いワインも、全ての方が美味しく感じるかというと、それは違うと思います。

「いいワイン」とは高品質なワインです。
土地の個性を最大限に引き出すように、ブドウ栽培から非常にこだわりを持って、ワインを醸造をしています。
出来上がったワインは高価になることが多いです。
ブドウの収量を抑え、よく熟したブドウの実だけを用い、多くが手作業で仕上げますので、人件費やコスト面で価格が上がってしまいます。
収量を抑えて造られるので、出来上がったワインの本数も少なく、高騰につながる訳です。
高価なワインといわれて名前が挙がるのが、かの有名な「ロマネ・コンティ」ではないかと思います。
収穫年によって変わりますが、平均で6000本ほどしか生産されていません。
日本には毎年20～30本程度が割り当てされています。

私がワインの勉強を始めた頃は、「ロマネ・コンティ」は1本約30万円位でした。今から30年前の事です。
今では500万円もの値がつくことも珍しくない“世界一高価なワイン”としても有名です。
何度「タイムマシンがあったら・・・」思ったことか。

この30年間でワインを飲む国や人が増え、世界全国でワインの消費が高まり、その素晴らしい品質と希少性から、世界中の大富豪やセレブ達が競い合って買い求めるヒートアップした争奪戦となり、価格がどんどん高騰してしまったのです。日本の「鮪」に似た現象が起こっている訳です。

妖艶でエレガント、ピノノワールの味わいを全て凝縮したような風格ある味わい、華やかで強いアロマで、紅茶や土の香りなど複雑みもあり、官能的な余韻は非常に長く続きます。
熟成に伴い黒トリュフや、複雑な土やエキゾチックなニュアンスが加わり、より甘美な味わいへと変化していきます。この「ロマネ・コンティ」は当然「いいワイン」です。

ただ、この「ロマネ・コンティ」であっても、飲んだ人すべてが世界一美味しいと感じるのかと問われると、美味しい！と感動する方もいれば、こんなもの？と思う方もいると思います。
先ほども申したように、味の好みや嗜好は人それぞれだからです。

また、ワインを美味しく飲む条件の一つに、「何を飲むかより誰と飲むか」という言葉もあります。
「いいワイン」を一人で飲むよりも、共有・共感してくれる存在がいることで、美味しさが格段に向上します。
素敵な女の子と共に、素敵な時間を共有する。ワインを通して、そのお手伝いをさせていただきたいと思います。
The Suiteで優雅な時間をお愉しみ下さいませ。