映画の中のワイン・第８３章

映画『タワーリング・インフェルノ』を観ました。日本では、1975年に公開されました。
製作はアーウィン・アレン。共同製作はシドニー・マーシャル。監督はジョン・ギラーミン、脚本はスターリング・シリファント、音楽はジョン・ウィリアムス、出演はスティーブ・マックイーン、ポール・ニューマン、ウィリアム・ホールデン、フェイ・ダナウェイ、フレッド・アステア、リチャード・チェンベレンなどです。

内容は138階建てのグラスタワーで火災が発生する。炎はビルを次々と燃やし尽くし、最上階のパーティー会場に近づいていく。設計者のダグと消防隊長のオハラハンは、パーティー会場に残された生存者を救出できるのか？といったパニック映画です。

アカデミー賞で撮影賞、編集賞、歌曲賞を受賞しています。
さて、この映画の中に出てくるワインがあります。ビルのオーナー、ダンカンが上院議員をパーティー会場で声をかけるシーンで登場します。
ダンカンが「君を驚かすものがある」という話しかけに「政治家は驚かないと」と談笑しながらバーカウンターへ行きます。
そして、オーナーがバーテンダーに「隠しているものを上院議員に見せろ」と言うと、バーテンダーはおもむろにカウンターの下から木箱を取り出し、それを見た上院議員は驚いて「トゥエニ―ナイン」と一言。
木箱に目を移すとRomanee-Conti 29の刻印が読み取れます。

20世紀最高の当たり年で50年近く前（この映画が公開された時から）のロマネ・コンティを、それも１ケース揃えたというシーンですが、ワインに詳しくなければ「トゥエニ―ナイン」という言葉の真意もわからないでしょう。

その後、後半のシーンでバーテンダーは自分と共にロマネ・コンティを箱ごと一緒に縛ろうとします。それを見たオーナーが「ワインなど放っておけ」と言いましたが、「でも29年ものですよ」と渋ります。酒の価値を知っているがゆえ、ささやかな口答えをするこの一連の場面が伏線となります。
しかし、1929年物のロマネ・コンティ1箱。いったい今だといくらになるんでしょうか？（笑）