クロ・ド・ラ・ロシュ

先日、パスカル・マルシャンの『クロ・ド・ラ・ロシュ』をお客様が注文されました。

なかなか、『クロ・ド・ラ・ロシュ』を注文される方はいらっしゃらないので、興味があり、お話を伺うと、「個人的に好きで、『ポンソ』『デュジャック』『アルマンルソー』などをよく飲んでいる。この造り手は飲んだことがないので、飲んでみようと思った」と言われます。

私もこの畑のワインはあまり飲んだことがなくて、そんなに詳しいわけではないので調べてみました。

すると、村の３割をグランクリュが占めている小さな村の偉大なテロワールがある地域だったのです。

村名はモレ・サン・ドニです。コート・ド・ニュイ地区のほぼ中央にあります。

栽培区域は標高250〜350ｍ。５つのグラン・クリュ『クロ・ド・ラ・ロシュ』『クロ・ド・タール』『クロ・サン・ドニ』『クロ・デ・ランブレイ』『ボンヌ・マール』は、村を縦貫する県道122号線の東向きの斜面中腹にあります。

グラン・クリュのさらに斜面上部でもぶどうは栽培されていますが、かなり小石が多く、表土も薄く、白っぽく、砂利を敷き詰めたように見えるところもあり、最上部はプルミ・クリュもしくは村名クラスになります。

斜面下部では石灰にバジョシアンの泥灰岩の層が入ります。

村の中央『クロ・サン・ドニ』と『クロ・デ・ランブレイ』の間に背斜谷がありますが、他のコート・ドールの村々と違って、切り込みは小さく、奥行きも浅い。

扇状地には、水はけのよい小石が多くあります。

プルミエ・クリュは20地区あり、一つひとつの面積が小ぶりなことが、他の村にはない特徴と言えます。

かつて、コート・ドールでクリマを再編成した際、ヴォルネイのようにいくつかのクリマをグループ化して、分かりやすいようにプルミエ・クリュの数を減らした村に反し、モレ・サンドニでは現状維持の決断を下しました。

いかにヴィニュロンの方々のテロワールに対する強い愛着があるかがわかります。

生産量のほとんどが赤ワインですが、白の生産も若干あり、ブルゴーニュのプルミエ・クリュでは唯一アリゴテの栽培が、モン・リュイザンでのみ認められています。

モレ・サンドニ村のテロワールがこんなに素敵だとは思っていませんでした。

ワインは深い。今日も飲みたくなってきました！（笑）