思索の酒

イタリアで造られる最高級ワイン「アマローネ」をご存じでしょうか。

イタリア最高峰に分類される赤ワインで、かつては王族や貴族しか味わうことができなかった時代もあるほど、希少かつ高級なワインです。

一見普通に見えるこのワインは、飲んでみると、驚くほどの豊潤さ、複雑さ、そして力強さを秘めていることに驚かされます。

味わいの秘密は、「ぶどうを陰干ししてから使用する」ことにあります。

使用するぶどうは、十分に熟した10月頃に収穫され、その後、一房ずつ丁寧にチェックして、熟していない実や傷んでいる実を取り除いていきます。

厳選されたぶどうは、風通しの良い専用の部屋で最大5ヶ月もの間陰干しされますが、その間も、すのこ状の板の上に丁寧に並べられた実は毎日確認され、ぶどうの水分が40％ほど失われ、凝縮した濃厚な果汁を得ることができるようになってから発酵させます。

さらに、樽で2年以上熟成、瓶詰して、6カ月以上の瓶熟成を経て、ようやく世に送り出されます。

このように、ぶどうを陰干ししてから使用するため、水分が減って凝縮され、生産量が少なく、そして、ワインが出来上がるまでに、非常に手間と期間がかかりますが、 他のワインでは表せない味わいを表現した素晴らしい逸品となります。

干しぶどうから造るワインと聞くと、何となく濃縮感のある甘口を想像される方もいるかも知れませんが、職人の見極めにより、余分な水分だけを飛ばして、ワインとして大切な部分はしっかりと残されるため、その味わいはあくまでエレガント。

アマローネという名前は、イタリア語の「アマーロ（苦い）」という言葉からきていて、チョコレートのような苦味とともに、複雑な香り、甘みなど、様々な要素が混じりあった深い味わいが感じられて、アルコール感と同時にふくよかなタンニンと芳醇な果実味も感じる絶妙なバランスです。

タンニンはシルキーで、とろみを感じるようなまとまりのよい仕上がりで、イタリアの文化や長い歴史を感じることができます。

イタリアではアマローネは「思索の酒」と呼ばれており、特別な時や大切な人と飲むワインと言われています。

世界中のワイン愛好家を魅了してやまない、唯一無二の味わいを大切な方とぜひお試し下さい！