ワインの価値はここで決まる?
銀座クラブチック
ソムリエ 鈴木 昌武
「外観」「香り」「味わい」「余韻」など、どれもワインを語る上で重要なものではありますが、あえてこの中のひとつだけ選んで、ワインを評価して下さいと言われた時に注目してほしいのが「余韻」です。
ワインを飲み込んだ後に口中に残る味わいや、鼻に残る香りの事で、これらの余韻がしっかりと感じられるワインは、良いワインと言えます。
「ワインを飲む機会は多いけど、味だとか、高い安いとかよくわからない!」という方でもわかりやすいポイントがあります。
ワインを飲み終わったあと、香りや味わいが持続する長さをチェックしてみて下さい。
ワインを飲み干した後、香りや味わいが消えるところまでカウントしてみるという方法で、日本ソムリエ協会の教本には以下のように目安が書かれています。
短い余韻・・・3〜4秒
中程度・・・5〜6秒
やや長め・・・7〜8秒
長め・・・9秒
一般的には、温暖な産地のワインほど余韻が強く、長いとされています。
温暖な産地ではぶどうの発育が活発になり、蓄積する糖分の量が多くなり、味や香りの成分を多く含み、エキスが豊富なためです。
余韻が長いワインは価格も高くなりますが、余韻が短い高価なワインは存在しないと言ってもよいと思います。
香りの強弱に関わらず、1級より特級、セカンドワインよりグランヴァン、難しいヴィンテージより恵まれたヴィンテージのものがそれぞれ余韻は長くなります。
良いワインの要素は、ひと口含んだ瞬間やグラスから立ち昇る香りだけではなく、味わいの後半や余韻にあります。
勿論、「苦い」「嫌なニオイ」など、不快なものが長く続くのは余韻とは呼びません。
あくまでも「美味いなぁ」、「味わいに複雑味が増してきたなぁ」など、心地良いもので、この“なぁ”の部分が余韻と言えます。
口に含んだ時のインパクトが強く感じられるワインでも、その余韻が意外に短いことがあります。
この場合、一見強いワインのように思えても、実はそれほどではないということになります。
逆に、口当たりはスムーズで強烈なインパクトではなくても、そのファースト・アタックとは裏腹に、長い余韻がある場合、力強い価値の高いワインであると言えます。
この感覚を掴んで頂くと、本当のワインの良さが見極められるようになるのではないでしょうか。
パッと見は派手だけど、関わってすぐにツマラナさが出てしまう女性よりも、余韻の長い素敵な女性やワインと過ごす時間のほうが価値が高いのではないでしょうか!(笑)