二日酔い・悪酔い対策
銀座クラブチック
ソムリエ 鈴木 昌武
前回、お酒を飲んだ次の日をリカバリーするための睡眠のコツをお話しさせて頂きましたが、悪酔いや二日酔い対策として重要なのは、空きっ腹で飲むのではなく、事前に食べておく、または食事を取りながら飲むということは皆さんご存じかと思います。
何も食べないでお酒だけ飲むと、体内に入ったアルコールは、胃ではほとんど吸収されず、一気に血中のアルコール濃度が上がり、血管の拡張、心拍数の増加、吐き気、頭痛を引き起こしやすくなります。
この現象が出るまでには、飲みはじめてから30分程度はかかるので、お酒の弱い人は、最初の一口目から気をつけておかないと、気がついた時には悪酔い状態となってしまいます。
悪酔いを防ぐためには、胃でのアルコール滞留時間を長くするために、事前にバランス良く食事を摂ることや、つまみを食べながら飲むことがおススメされていますが、実際にどんな食事を取ればより効果が上がりやすいのでしょうか。
肝臓の機能がしっかり働くために必要な、枝豆、納豆、赤身肉、焼き鳥、刺身、卵料理などの“タンパク質”が豊富な食材や、タコ、イカ、ホタテ、シジミなどの魚介類は、タンパク質の他にも、胆汁の分泌を促進、アルコールの代謝を助けたり、肝細胞の再生を促進する作用がありますので、飲み会の席に向いた食材と言われています。
さらに、最近の研究では、食材ごとの胃の滞留時間を考慮して、カルパッチョやアヒージョ、唐揚げ、ポテトサラダ、フライドポテトなど、オイルやマヨネーズを使った“油もの”のメニューが良いと言われています。
この胃の滞留時間は、米飯100gで2時間、ビーフステーキ100gは3時間、油は最も長くバター50gで12時間滞留するそうです。
バランスの良い食事を摂る、水分をしっかり摂るなどは基本ですが、そうは言っても飲み会の席では、食べる前に乾杯で飲んでしまったり、食事を事前にできないケースも多いので、お酒に弱い人は、“生クリーム”をたくさん含んだ、コーヒーショップのフラペチーノなどの飲み物や、シュークリームなどのスイーツで対応してみてはいかがでしょうか。
「牛乳を飲んで膜をはっておくと酔いにくい」と言われることもありましたが、実は牛乳に含まれる脂肪は4%程度しかありませんのであまり効果的とは言えません。
動物性の生クリームには脂肪分が45%と10倍以上なので、牛乳よりも生クリームの方がより悪酔い対策として優れています。
ドラッグストアなどで手軽に手に入るウコンやヘパリーゼなどもアルコールの分解を手助けしてくれますが、これだけを飲んでも万全とはなりませんので、飲酒前や飲酒中の食事も工夫してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、お相撲さん、プロレスラー、プロ野球選手など、体格の良い人はお酒が強いイメージがありますが、これは筋肉量の違いと考えられています。
筋肉は脂肪と比較すると多くの水分とグリコーゲンを含むため、血中アルコール濃度を上がりにくくする働きがあるそうです。
普段から運動やトレーニングをすることで吸収したアルコール濃度を低下させることができるそうなので、お酒が強くなりたい方はトレーニングに励んでみると良いかも知れません。(笑)
年内最後の寄稿となりますが、今年もご愛読頂き誠にありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願い致します!