ワインの『ボディ』
銀座クラブチック
ソムリエ 鈴木 昌武
今回は、ワインの『ボディ』という言葉についてお話しさせて頂きたいと思います。
『フルボディ』『ミディアムボディ』『ライトボディ』など、ワインの世界に足を踏み込むとよく聞くのがこの「ボディ」という表現ですが、なんとなく『フルボディ=重い』『ミディアムボディ=中くらい』『ライトボディ=軽い』というイメージは持って頂けるのではないでしょうか。
人間の体型と同じようにボディというのは、ワインの体型のようなもので、具体的な数値があるわけではありませんが、アルコール度数やタンニンがひとつの目安になります。
アルコール度数が高ければ高いほど飲みごたえは増し、タンニンやアントシアニンが豊富なワインは収れん性があり、熟成に耐える強さを持ちます。
(収れん性とは、渋みのあるワインや渋柿や野草を口に含んだ際に、酸っぱくないけど口の中がキューっと締め付けられる様な感覚)
その他にも、ぶどう由来の香りや熟成の樽に由来する香りなど、実際にはボディに影響を与える成分は存在するため、ボディとは何ぞやという問いかけに答えることは非常に難しいですが、語源は英語のbodied。
一般的には、『フルボディ』は、豊満で肉付きのよいグラマーといったイメージですが、ワインでは濃厚さだけでなく、ふくらみや広がりといった、口に含んだ時のワインのしっかりした感触や余韻の長さといった特徴を指します。
『ライトボディ』は、痩せた、軽い、スレンダーといった印象で、色合いが淡く、余韻が短い、口当たりのさらっとしたものといった感じで、『ミディアムボディ』は、中肉中背でその中間といった感じですが、難しいのは相撲界で160キログラム、身長180センチメートルが関取の平均というように自分が住んでいる世界、環境によって大きさや重さの基準が変わるのと同じように、普段の食生活や味覚によっても個人差があり、好みによっても変わってくることです。
実際に、ボディの定義とはそれぞれのインポーターやメーカーなどの価値観、判断で定められているものであるため、明確な基準や数字などが設けられているわけではありません。
フルボディと表記していても、飲む人の基準によってはフルボディではないと判断されてしまうケースも存在しますので、ワインを“ボディ”という単位だけで表現するのはかなり難しいと思っています。
ボディの区分や感じ方は、個人の主観によるところが大きいので、他の人と感じ方が違っても気にすることはありませんが、「美味しいワインが飲みたい」と伝えても、味の好みはより個人差が激しいので、自分の好みの女性を表現できるように、ワインも自分の好みを表現するにはどうしたらよいか次回ご説明させて頂きたいと思います。(笑)