エノトーリア・テルス(ワインの大地)
銀座クラブチック
ソムリエ 鈴木 昌武
皆さんこんにちは。銀座クラブチック、ソムリエの鈴木です。
世界には色々なワインの生産国がありますが、イタリアは20州あるその全ての州でワインが生産されていて、古代ギリシャ時代からイタリア半島を『エノトーリア・テルス(ワインの大地)』と呼んでいます。
地中海に面した温暖な気候で、ぶどうの生育期に雨が少ないことなど、理想的なワイン用ぶどうの生育環境にあり、全20州すべてでぶどう栽培が行われている世界でも稀有な土地でもあります。
それぞれの州で気候、土壌、食文化が異なるため、銘醸地の伝統品種で伝統的な醸造法で造られたワイン、伝統品種を新しい醸造法で造り変えたワイン、そして、外来品種で造られた革新的なワインなどなど、実に多種多様。
特にぶどう品種は、土着品種を含めると公式に認められたぶどう品種だけで400種、すべてのぶどうを数えると2000種類とも言われていますが、イタリア人によくある誇張とも言われ、実際にいくつあるのかすら定かではありませんし、世界中を探しても、すべての品種を言える人はいないと思います!(笑)
ソムリエ試験のための勉強では、20州の州名、州都、各州の代表的なぶどう品種やワイン銘柄はマストで、馴染みのない長いカタカナ、同じぶどう品種であっても地方ごとに呼び方が変わるものも多く、かなり手強い国です。
例えば、イタリアの代表的なぶどう品種の「ネッビオーロ」は、ピエモンテ州のクーネオ県での呼び名ですが、その他の県では主に「スパンナ」、ロンバルディア州では、「キアヴェンナスカ」、ヴァッレ・ダオスタ州では「ピクトゥネール(ピコテンドロ)となります。
そして、「プリミティーヴォ・ディ・マンドゥリア・ドルチェ・ナトゥラーレ」(プーリア州で造られる半干しぶどうから造られる甘口の赤ワイン)など、呪文のように長くて、舌を噛みまくるような銘柄などなど。
ただし、ご安心下さい!?
私も、品種の別名や、ご紹介した甘口ワインの正式名称もほとんど忘れかけていたので、教本などで確認しました。(笑)
普通にイタリアワインを楽しむためには、フランスがボルドーとブルゴーニュに代表されるように、イタリアも有名産地は2つです。
まずは、イタリア屈指の高級ワイン産地の“ピエモンテ州”。
非常にデリケートなネッビオーロ種で造る高級ワインの産地で、「バローロ」「バルバレスコ」が有名です。
そして、サンジョベーゼ種を主体とした、「キャンティ」を生産する“トスカーナ州”。
このトスカーナ州では、州の伝統的な規定によるワイン以外に、“スーパータスカン(スーパートスカーナ)”という1970年代に彗星のごとく現れ、世界的な評価を受けた「サッシカイア」などのワイン群があります。
もちろん、発泡性ワインや白ワインなどもありますが、個人的には、この2地域、3タイプが中心と考えてよいと思います。
イタリアでは、ワインは「水より安い」と言われるくらい国民的な飲み物で、空の容器を持っていけばワインを入れてくれる「計り売り」の酒屋が多くあり、1リットルが1〜2ユーロ(約100〜200円)程度で買えて、8ユーロ以上のものは高級ワインとして扱われます。
都市部では、日本で飲むのとあまり変わらない価格になるそうですが、機会があれば、地元の方々が行きつけにしているようなバルで、一日中ワインを楽しんでみたい!(笑)